今日は放課後、川べりに行きました。
ブータがそこに四つ葉のクローバーがあるって教えてくれたからです。
四つ葉のクローバーはめずらしくて、見つけると幸せになれるんだって。
ブータはまいに四つ葉のクローバーをプレゼントしてくれようとしたけど、
まいはいいよと言いました。
まいはあっちゃんと出会えて、もう幸せだから。
だから、ブータはブータの大切なだれかにあげてと言いました。
でも、まいは思いました。
まいはいいけど、あっちゃんにあげたいなって。
あっちゃんが幸せになれるように。
それで、まいはブータにどこに行けば見つけられるのか教えてもらいました。
ほんとはひとりでどこかに行っちゃだめって言われてたけど、
あっちゃんも、ほかのみんなも、お仕事がいそがしそうだったから
まいはひとりで川べりに行きました。
川べりに行くと、クローバーがいっぱいでした。
どこに生えてるのかな。
まいはどうしてもあっちゃんに四つ葉のクローバーをあげたくて、
いっしょうけんめい、さがしました。
あっちゃんがいっしょにいてくれるから、まいは幸せになれたけど、
でも、あっちゃんはどうなのかな。
あっちゃんはおうちのことも何でも出来ます。
お料理だっておいしく作れるし、おさいほうも上手です。
あっちゃんはまいのために何でもしてくれるけど、
まいはあっちゃんのために何もしてあげられません。
だから、四つ葉のクローバーであっちゃんが
幸せになれたらいいのにと思いました。
でも、どんなにさがしても、四つ葉のはなかなか見つけられませんでした。
あっちゃんのために見つけたいのに。
まいがあっちゃんのためにできることって、何もないのかな。
そう思うとかなしくて、むねがぎゅっとなって、なみだがこぼれてきました。
その時、あっちゃんがまいのことを大声で呼ぶのが聞こえました。
「やっと見つけた! ひとりで外に行っちゃだめだって言ってたでしょ?
どうしたの、舞? 迷子になってたの?」
あっちゃんはまいの顔をみて、そう言いました。
「ちがうの? 泣かなくていいよ。ちょっとだけ怒ってるけど、
ほんとに怒ってるんじゃなくて、心配してたんだ。
舞に何かあったらどうしようと思って。皆も心配してたんだよ?」
まいはなみだをぬぐってくれるあっちゃんにぎゅーしました。
あっちゃん、ごめんなさい。
まいは、あっちゃんのために何もできないから、
四つ葉のクローバーがあれば、あっちゃんが幸せになれると思ったの。
がんばってさがしたけど、見つからないの。
ごめんね、あっちゃん。
あっちゃんのこと、世界でいちばん大好きなのに、
まいはあっちゃんのために何もできなくて。
「ちがうよ、舞。舞は僕にいろんなものをくれてるんだよ」
ほんとに?
まいはおうちのことも、ぜんぜんできないのに?
あの人みたいにお仕事のお手伝いもできないのに?
「舞は気付いてないだろうけど、舞がいてくれるだけで、僕は幸せなんだよ。
だから、舞がそんな風に泣くことないんだよ。舞が泣くと、僕が悲しくなっちゃうな」
まいでも、あっちゃんのために役立ってるの?
「――それに、ほら」
あっちゃんがまいが座ってるすぐよこを指差しました。
そこには四つ葉のクローバーがありました。
「やっぱり舞は僕に幸せをくれるね」
それは、あっちゃんがみつけたの。まいがみつけたんじゃないよ。
四つ葉のクローバーがあって、うれしかったけど、
自分でみつけられなくて、まいはちょっとがっかりした気分でした。
けど、あっちゃんは笑って言いました。
「でも、舞がいなきゃ、僕も気付かなかったから。舞のお陰だよ」
あっちゃんは、そっとその四つ葉のクローバーをつむと、まいにわたしてくれました。
「舞にあげる。僕は、僕より舞に幸せになってほしいから」
でも、まいは、まいよりあっちゃんにもっと幸せになってほしいの。
まいも、自分でみつけた四つ葉のクローバーをあっちゃんにあげたいのに。
「ねえ、舞。ほら、四つ葉のクローバーって葉っぱが4枚あるでしょ?
こっちの2枚が舞の分、こっちの2枚が僕の分。2人分合わせると4枚になるよね。
2人一緒でひとつの幸せっていうのもいいと思わない?」
あっちゃんが笑ってそう言ってくれました。
2人いっしょでひとつの幸せ。
まいはとってもうれしくなりました。
「舞もそう思ってくれる? じゃあね、舞が僕の2枚も預かっててね。
舞が僕の幸せの鍵だよ」
まいは大きくうなずきました。
これは2人の幸せのかぎ。
まいは大事なお守りにしようと思いました。
「そろそろ日が暮れるね。皆も待ってくれてるだろうし帰ろっか」
まいはあっちゃんの手をぎゅっとにぎって、学校に帰りました。
学校に帰ると、あっちゃんと同じで、おこってるけど、
みんな、まいのことを心配してくれてました。
まいはみんなに、ごめんなさいってあやまりました。
たかちゃんはブータのこともおこってました。
おっさんのせいだって。
ブータがしょんぼりあたまを下げてたので、
まいはブータは悪くないよと言いました。
ブータが教えてくれたから、まいはまたひとつ幸せになれたんだよ。
そのあと、まいはみおちゃんに押し花の作り方を教えてもらいました。
四つ葉のクローバーをきれいにしおりにしたいです。
それで、この日記帳にはさむの。
あっちゃんといっしょの、たのしい日のことをずっと書けたらいいのにな。