あぁ、もう僕の、俺の生き方は破綻した。
目立たないように、生き残れるようにと自戒しながら過ごしてきた生活は今この瞬間に終わりを告げた。
君の笑顔を守りたいから。
君が守りたい世界を守りたいから。
俺は僕の生き方に終止符をうったのだ。
だけれど僕には忘れてはならないことが一つある。
隠れて生きる人生は俺らしいものではなかったが、僕が新たに選んだ道もまた僕らしいものではありえない。
自分の気持ちもままならないこの僕が、どうして他人に幸せをもたらすことが出来ようか。
どこかの誰かのためになど生きられはしないこの僕が。
君を失わないですむ方法しか考えられないこの僕が。
「誰かのために」と考えることは気持ちが良いことに違いない。
満たされる良心。
後ろ暗さなど何もない開放感。
しかしそれは僕にとっては不自然な行為。
ただ息を潜めるために生きてきて、これからもそうだと思っていた人生。
だけど君と出会ってしまった。
ただ付いてこい、と背中を向けて歩き出す光。
君は僕が明るい空気になれるまでは待ってはくれない。
だから僕は君の隣に居られるように無理をする。
得られるはずの開放感はそこになく、浴びる賞賛の全てはひどく空虚で。
近くに寄れば寄るほど君に対して抱くのは複雑な感情だ。
君を守りたいのに、君を壊したくなる僕。
劣情が虫のように腹の中を蠢いている。
それは幸せそうな笑みを見るたびに。
それは賞賛の言葉を浴びるたびに。
苦しい、苦しい。
君と僕とがどれほど違うか見せつけられて。
だったら素直にならなければ良かったのか?
底に沈んだままの生活が良かったのか?
そうではない。
君に出会った瞬間に、僕は破滅の道を選ばざるを得なかったんだから。
人には相応しい生き方があるんだよ。
身分とか階級とか性別とか、それが人というものを作っていることは否定できないんだよ。
不相応な生き方をした人間は必ず壊れる。
でも。
そのことを知らない、わかり得ない君だから。
僕は今この場所が自分の求める場所だと嘘をつく。