(性行為描写あり)
細い腕にキスをしようとして、速水は動きを止めた。
肘裏に薄紅い発疹がいくつか。そっと周りを指でなぞる。
「舞、あせもができてる」
「なに・・・?」
視界の中で揺れる青い髪に気をとられていた舞は、ぼんやりと視線をさ迷わせた。
「あ、せ、も」
速水は笑いを含んだ声で繰り返して、今度こそ二の腕の柔らかい部分に唇を寄せた。
「ああ、昔からできやすいんだ。体が弱いのは鍛えれば済むが、皮膚はなかなかそれが難しいらしい。これでも、だいぶましにはなったのだが・・・」
反対の腕にも発疹はできていた。舞は気だるげにそれを見ている。
「痛い?」
「ん、痛痒いな。まあ、季節がら仕方あるまい」
唇が肌を滑るのがくすぐったいのか、舞は目を細めて応えた。
「ベビーパウダーを調達しないと」
「ベビーパウダー?ああ、あれは予防にはいいが。粉は毛穴を塞ぐから、あせもができてしまった後ではかえって症状が悪化する。逆効果だ」
「へぇ、そうなんだ」
「これは、後で軟膏でもぬればいい・・・
?、何をにやにやしている?」
話の途中から急に相好を崩した速水に、舞は訝しげに眉をひそめる。
「――今、想像した。
舞の全身に白いパウダーをはたいたら、ウサギみたいになって、かわいいだろうなって」
速水の造作の整った顔が近づいて、目尻に軽いキスをする。
粉を全身にはたいても、想像通りにいく訳がないのは分かってて言っている。
だが速水の悪戯っぽい目は、それでも充分本気のようだった。
「・・・そなたは、変態だ」
頬を一気に赤くして、舞はやっとのことで言った。
「いいよ、変態でも。舞がウサギになってくれるならね。
まあ、でも舞にこういうことをしている時点で、もうすでに俺は変態なのかな?」
「っあ、ぁ、急に、動くなっ」
まだ入っていることを、その動きで認識させられて舞はうめいた。
下半身がひどく重い。足が上がらない。もう限界だった。
続行は勘弁して欲しい。
速水は舞の乾いた唇をぺろりと舐めた。
「舞が許してくれるなら、いろいろ試してみたいけど・・・」
とろける様な微笑とはこういうことを言うのだろうか、と舞は思った。
とんでもなく凶悪で、強力に作用する。
「ふふ・・・・・・こんな綺麗なものを、平気で汚せる俺は、やっぱりどうしようもなく変態なんだろうね」
けれど、そう続けて呟いた顔が、まるで泣いているように見えたから、舞は手を伸ばして速水に触れた。
手の平で頬を撫でる。
「厚志・・・」
名前を呼んで、まぶたを閉じた。
許しとか、そういうものではないけれど、今の自分の言葉にできない気持ちが伝わればいいなと思った。
「舞、好きだよ」
速水は囁いて、唇を擦り合わせるようなキスをした。
そのまま頬の線を辿って、耳たぶを甘噛みする。
舞が背筋を這った微妙な感覚に身動ぎすると、その反応に気を良くしたのか、速水がくすりと笑みを漏らした。
腕を舞の背中に差し入れて、抱きしめる。
舞も速水の首に腕を回した。
「今度、うさ耳付けてくれる?」
耳元で響く甘い声に意識を持っていかれないよう、舞は息を吐く。
このまま調子に乗られっぱなしというのはさすがに癪に障るが、どんな返し方をしたところで、速水は喜ぶだけなんだろう。
それでも少しばかりの抵抗はしておきたくて、舞は口を開いた。
「やっぱり、そなたは、ただの変態だ」
果たして速水は、舞の言葉をただ笑って流した。
そのかわり、おしおきとでも言うように行為が続行される。
そのあと、意識を失うまで舞が声を上げさせられたのは、言うまでもない。