とことこと弁当が歩いてきた。
いや違った、弁当の包みを抱えたみおが歩いてきた。
みおの身長は俺の腰にやっと届くくらい。
頑なに比べるのを拒んでいるが、ひょっとしたら、ののみよりも小さいかもしれない。
弁当の包みが大きい上に、着ているものが着ているものなので、お茶運びのからくり人形みたいだ。
ただ弁当を運ぶということでさえ、一生懸命なところが可愛い。
それが俺に作ってくれた弁当ということなら尚更。
「隆之さん、お弁当、です」
弁当の包みを俺の方に差し上げて、忘れないで下さいね。と見上げる。
気付いているのかな、毎朝これを見るために、わざと忘れそうなフリしてること。
「ありがとう。みお」
俺は、そう言って受け取る代わりに、みおを抱き上げた。
「隆之さん!」
「みおごと担いでったら、絶対に忘れないよな」
「降ろしてくださいっ」
髪をふくらませ、顔を真っ赤にして、それでも落ちないように俺の肩につかまる。
「さて、行くか」
一人で歩けますだの、不潔です、だの騒いでいるのを聞き流して、上機嫌で玄関を出る。
朝はこうじゃないと、調子でないよなぁ。やっぱ。なんて鼻歌まで付けてみる。
「もう、学校に行くまでに、腕、痺れてしまいますよ」
ため息交じりの声に、顔を見ると、みおが大きな瞳を潤ませて俺を睨んでいた。
やばい、顔が緩む。
それを見たら、みおは今度こそ本気で怒り出してしまうだろう。
「そこがツボなんだが」
「え?何がツボ、なのですか?」
おっと、口に出してたか。
「いや、なんでもない。気にするな。さあ、学校早くしないと、遅れるな」
俺は、みおを抱えたまま走り出す。
「ですから、降ろしてくださいっっ」
「お前さんの足じゃあ、昼休み過ぎるぞ」
「なんですって!」
「おかず、交換しような」
ウィンクすると、みおがぷいっと顔をそらした。
「あなたなんて、知りません」
そうやって、可愛い声で囁くのが、愛の言葉だったらいいのに。
この意地っ張り姫にはまったく手こずらされる。
でも、それもまた俺の趣味なんだと言ったら、今度こそ愛想つかされるかもな。
※未SS。ぷち設定。
ちび壬生屋・・・春に転校してきた少女。パイロット。現在、瀬戸口のうちに下宿中。
瀬戸口・・・過去に恋人を失いそれ以来自堕落な生活をしていた。
ちび壬生と運命の(笑)出会いを果たし、改心。現在ちび壬生一筋の男。